ツララ」は冬の風物として愛着のあるものです。
昔は田舎の茅葺の家などの軒先は1mものツララが垂れ下がり棒でたたいて落としたり、チャンバラの真似をしたり、「ツララ」をキャンデーのように手に取って舐めたり子供の遊び道具にもなっていたものですが今では茅葺の家はなつかしい風景となってあまり見かけることがなくなりました。それでも寒い地方では冬になると「ツララ」を見ることがあります。この「ツララ」で住宅の性能がわかる・・・といったら「?」だと思います。
最近の住宅は車の性能と同様に断熱の性能レベルを明示できるようになりました。例えば車で言えば「この車は1L当たり ○○kmの燃費性能があります。」といったように「この家は暖冷房費が年間○○円のランニングコストです。」といった今まででは考えられない数値で性能を表示できるようになってきています。「ツララ」は温熱環境の分野で数値ではありませんが目視で簡単に断熱・気密性能の良し悪しが判断できるものさしでもあるのです。
それは何故かというと「ツララ」ができる大きな原因には暖房等で暖められた室内の(空気)熱が天井、壁を通して天井裏に流出し屋根の雪を融かし、外気温度が氷点下になると融けた雫が「ツララ」という現象を起こしています。
こんな理由で「ツララ」ができる家は室内の熱が流出する何らかの要因があるということになる訳です。その原因には隙間があるとか、隙間がなくても断熱性能が低いといった場合に顕著に現われます。
例えば写真1の現場は1年前に断熱リフォームした家の軒先に「ツララ」が発生!隙間が多い住宅の場合は1Fの隙間から外気が浸入し室内で暖められた熱は軽くなるため2Fに上昇し2Fの隙間から室外(天井裏)に流出します。
写真2は写真1の事例の原因①天井、壁、床は気密シートで施工されているが下屋の胴差シートがないため気密シートの不連続で低気密になっている③断熱施工精度が粗いため断熱欠損があちこいにある④下屋、2Fの小屋裏換気がないため、小屋裏が熱だまりになり屋根面を暖めているためが主な原因となっています。
写真3は気密・断熱性能が高い住宅であることがわかる例
このような場合は屋根の雪が融けないで積もったままの状態になります。最近はCO2削減のため欧米並みに住宅の高性能化が進んでいますが近い将来住宅での「ツララ」の風物詩も完全になくなることだと思います。ツララを見ることができないのは淋しい気がしますが地球温暖化防止に貢献している証になるのです。
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