C値1.0c㎡/㎡以下の気密にこだわる理由があります!

改正前の次世代省エネルギー基準法という国の基準では、C値の数値は各地域で違う基準(C値2.0c㎡/㎡~5.0c㎡/㎡以下)となっています。
平成21年1月30日告示の改正の次世代省エネルギー基準では明確なC値の数値は削除されました。しかし、C値2.0c㎡/㎡~5.0c㎡/㎡という数値は住宅の内部に無数に隙間がある状態なのです。
その結果住宅では何が起きるか?(弊社の経験から)

①換気計画がアンバランスになります。

これは、ジュースを飲む時ストローに無数の穴が開いた状態では、いくら吸っても口にジュースが届かないことに似ています。
せっ かく第一種換気・第三種換気で排気と給気を行おうと思っていても、部屋の排気と給気との間に無数の穴が存在します。その穴から空気が 部屋に入ってくるので、せっかくの計画換気のルートに乱れが生じ計画的にはなりません。これでは計画された換気の機能が損なわれます。

②暖冷房のランニングコストが上がります

①でも触れましたが第一種換気の場合、排気と給気との間に穴が開いている状態だと、せっかく熱交換により暖めた空気が給気側から出てきますが、それよりも排気側に近い部分の穴(気密漏れの穴)から外気を導入してしまいます。その結果、部屋が快適温度になるためには、余計な燃費はかかってしまいます。
(夏の場合は、計算されていない外気の熱い空気が室内に多く入ってきます。)

③結露発生の危険が高まります。

換気の計画上排気口と給気口のつける位置は、部屋の空気がよどまないようにルート計画がされます。その部屋の換気のバランスが崩れると部屋の中に空気のよどむ箇所を作ったりします。
その結果、湿気が滞留すう箇所が生まれ結露などが起こる可能性が高くなってきます。

④各部屋での温度差を作る状況

無数にあちこちにある穴は、部屋の何処にどのくらいあるかはわかりません。ある部屋では穴の大きさが1cmであったり、また別な部屋では穴の合計が30cmであったりした場合には部屋によってかかる暖冷房費は大きく変わってきます。また保温・保冷力も違ってきますので温度差ができやすい環境ということになります。1.0c㎡/㎡以下ではこの問題は起りにくくなっています。
※換気や冷暖房の計画された数値からは多少の誤差はありますが、住環境においての問題は今まで報告されていません。

それは、C値1.0c㎡/㎡を境に、自然換気による熱損失・温度差・風の強い日による自然換気量の値が激減するからです。C値2.0c㎡/㎡以上の状態では、上記の事柄で住環境に影響を及ぼすことがわかっています。
以上のことから、「どの地域においてもC値は1.0c㎡/㎡以下に」とお勧めしています。

ちなみに、換気の計画時の数値やランニングコストの誤差を生じないC値の値は1、第一種換気=C値0.35c㎡/㎡2、第三種換気=C値0.50c㎡/㎡となっております。ただこのC値は、実現するまでに相当の施工時間・費用・根気が要ります、今までの経験上1.0c㎡/㎡以下であれば、計画時の誤差もさほど気になるものでもありませんし住環境上なんら問題は起きていません。

気密性能と風速の関係


左表から例えば、
外気温℃室温 20℃の表で気密性能が2.0cm2/m2の場合は平均風速2.5m/秒時の隙間換気量は0.2回/hとなり、風速が6m/秒になると0.5回/hと隙間換気量が増加してしまいいます。


義務付けの換気計画は0.5回/hですから、この場合はこのようになってしまいます。
0.5回/h+0.2〜0.5回/h=0.7回/h〜 1.0回/hの膨大な換気回数になってしまい計画的な換気にならず省エネにもならず、ランニングコストのシミュレーションもできない風任せの換気システムになってしまいます。